ッチダナンダ
ヨーガの修練を積んでいくにしたがって、好きなことや嫌いなことに、いかに自分の心が乱されるかに気づくようになる。自分が求めていたものを手に入れたり、楽しいことを経験すると、興奮したり、笑ったり、幸せを感じる。求めていたものが手に入らないと、意気消沈したり、満たされない思いを感じたり、不安になったりする。仕事の時だろうが、家庭においてであろうが、公私にかかわらず一日中こういったことに出くわす。我々は、瞑想やアーサナ中に心の平和を求める。しかし、心の病気に打ち勝つために、それ以外の時にできることが沢山ある。
パタンジャリは、「ヨーガ・スートラ」の第2章第7節で次のように言っている。
「愛着とは、喜びに対する執着である」
意識の個別化や、肉体、思考、記憶を自分だと誤って認識してしまうため、我々は社会の中で心地よい経験に魅了されてしまう。恐れと同様に愛着(ragah)は、幻想(vikalpa)によって引き起こされる。内なる幸福と外部の環境や要因を結び付けてしまうために、この幻想が起こる。そして、この結び付きが喜び(sukham)だと思ってしまう。外部の環境、要因があったから、幸せを感じたのだと誤認してしまう。外的要因が無くなると、あの喜びを感じるためには、あの時と同じ状況がなければならないのだと妄想し、愛着を経験する。愛着とは、執着(anusaya)であり、苦しみ(dukha)である。外的要因がある時でさえ、失うことに対する恐れから、愛着を経験する。しかし実際は、内なる幸福というのは外的環境や要因とは無関係に、ただそれ自身で存在するものなのである。内なる幸福があると気づいてさえいればいい。
パタンジャリは、続けて第2章第8節でこう言っている。
「嫌悪とは、苦しみに対する執着である」
我々は社会の中で自分の思い通りに行かない経験をする。好きとか嫌いというものは相対的なものであり、ある人にとって苦痛であることが、またある人にとっては楽しいことであるかもしれない。好き、嫌い以外に別の反応の仕方がある。それは、パタンジャリが苦痛や喜びを越える鍵として述べている無執着である(スートラ、1章、第12,15節)。
自分の内面に向かい、苦痛をもたらす経験から一歩引いてみると、原因が明らかになる。忍耐と寛容とともに、この態度と認識を身につければ、もう何も心を乱すものは無くなる。“心の平和が乱されるなら、それはあまりにも高い代償だ”。自分の認識を変えないで、外的状況を変えることはたいてい不可能だ。第一に、嫌悪に反応しないように、自分の内面に意識を向け、明晰さを保ちなさい。外的状況は、もっと調和に満ちたものになるように願いなさい。愛着(raga)や嫌悪(dvesa)を焼き尽くすため、自分に与えられた仕事は何でも霊的修練としてカルマ・ヨガ(無償の愛)の精神で行いなさい。
愛着も嫌悪も、パタンジャリがスートラの第2章第3節で述べている苦痛の源5つ、「無知、利己主義、愛着、嫌悪、生への執着」に含まれている。
この5つが自己実現を妨げる。無知、自分が本当は何者なのかを知らないために、真の自己と偽りの自己、永遠の存在とつかの間の存在を混同してしまう。この無知のために、利己主義が生じる。パタンジャリは第2章第6節で、「利己主義とは、すべてを見ているもの(Purusha)の力を、見るための(prakriti)道具の力だと誤認してしまうことである」と言っている。つまり、利己主義とは、思考、感覚、感情と同様に、本来の自分ではないもの、物事を認識するための道具である肉体と心を自分だと思い込む習慣のことである。これらが、ただの対象物、自分の意識の反映に過ぎないことに気づかない。このため、意識の個別化「私は~である」、「私は肉体である」「私はこの感情である」などといった混乱が生まれる。
無執着と洞察によって、この主体と客体の混同を克服することができる。自分が「行為者」ではなく、「観察者」であることを知りなさい。目撃者、道具として存在し、事が起こるのを見ていなさい。
愛着を克服するため、楽しい活動や状況の前、最中、後、すべてにおいて気づきを養いなさい。気づきが存在する限り、内なる幸福が続くことを知りなさい。愛着を手放す練習をしなさい。物事がうまくいったら、神に感謝しなさい。
嫌悪を克服するため、活動すべてを無私に、自分の持てる力を最大限に発揮し、辛抱強く行いなさい。活動の間中、そして結果に対しても心の平静を養いなさい。物事がうまく行かない時には、自分の行いを見つめ、よりよい方法を学びなさい。
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